福島県郡山市の将棋情報

福島県郡山市、及び、福島県の将棋情報を発信します

将棋の上達方法6

前回のコラムの続きですが、短手数の詰将棋を丸暗記するとして具体的にどのレベルを目指せば実戦で役に立つか、という話を書きます。対象は研修会に入ったり、一般の県大会に参加するなど上を目指そうとする子供向けです。

 

題材は将棋世界詰将棋コーナーです。まず本の後ろのほうに3手5手詰めのコーナーがあります。10問ありますが、まずはこれを「見た瞬間解ける」を目指して下さい。詰将棋の作品ではなく実戦形でひっかけ問題はありません。短手数の詰みの基本パターンを網羅して暗記すればできます。

 

次のページに7手9手詰めのコーナーがあります。これも10問ありますが、「1問あたり一瞬~数秒で解ける」を目指して下さい。やさしい7手9手詰めの丸暗記、または、3手5手詰めへの「誘導」を一瞬~数秒でできるようにするのが第2段階です。ここまで来る時点で短手数の詰将棋の本を相当やりこんでいるはずです。

 

第2段階ができたら詰将棋サロンや懸賞詰将棋に進みます。ここからは「作品」になるので上記の「詰む将棋」とは訳が違います。詰将棋を楽しむなら盤駒を使ってもかまいませんが、実戦を強くなりたいなら暗算で解いてください。ここから一気にレベルが上がります。全然解けない時は無理せず答えを見たほうが良いです。私は答えを見ずに必死に考えて解いていましたが、それが良かったのかどうかは正直よくわかりません。

 

子供は成長が速いので量をこなしていくと詰将棋サロンもさくっと全問解けるようになります。少々マニアックになりますが、多くの人が読む将棋世界詰将棋コーナーなのでアホみたいに難解な問題は採用されません。詰将棋サロンがさくっと解けるレベルになると詰将棋パラダイスをやり始める、というのが昔からのあるあるです。ここまで来ると研修会では相当負けないレベルになっていると思います。

 

私は中学生の頃、将棋世界の発売日には学校帰りに立ち読みで詰将棋サロンを解くのが習慣でした。(将棋世界を買わないから序盤が下手だったのか・・・)8問で長くても15分くらいだったはず。難易度は今も昔も大して変わらないと思うので参考にして頂ければ。

 

 

将棋の上達方法5

4で「短手数の詰将棋は丸暗記して下さい」ということを書きました。

将棋の上達方法4 - 福島県郡山市の将棋情報

その意図するところですが、実戦の終盤の特徴は

1.お互いの玉が詰むかどうかわからない。詰むとわかっている詰めチャレなどより難易度が格段に高い

2.多くの場合が秒読みになっていて、長く考える時間がない

であり、「確信が持てて瞬時に出てくる」知識以外は全く役に立ちません。

適当に王手をかけていれば詰むという追い詰め(正算)ならともかく、その局面に類似した詰め形をイメージしてその局面に誘導する(逆算)では暗記している詰めパターンの量が少ないとどうにもなりません。

その上で上記の「誘導」が長くなるほどに指し手の分岐が増えるので難易度が高くなります。3手の誘導と7手の誘導では大違いです。なので長い手数の詰めパターンを覚えている人のほうが終盤力は圧倒的に上がります。

マチュアで将棋を楽しむ分にはそこまで必要ないですが、奨励会など上を目指したいという人は肝に銘じて下さい。暗記が足りない時点で時間をかけて長手数の詰将棋にチャレンジするのはあまり意味がないです。

田舎で対戦相手に恵まれないとしても、知識を増やすことにハンデはありません。詰将棋のハンドブックであれば内容を全部覚えるくらい繰り返せば力はつきます。これって受験勉強と同じですよね。

詰み形を暗記したら最終盤の力はつきます。そのちょっと前の中盤後半~終盤の頭に必要な知識はまた違います。将棋って覚えないといけないことがものすごく多いのです。

福島県の子供の皆さんへ:福島県内の大人は全然詰ましに来ない(必死をかける)ですが、都会の強い人は情け容赦なく詰まします。この程度の終盤力でも勝てるからいいやと思わないで下さい!!

 

第61回新春選抜戦の結果

新春選抜戦の優勝は根来正浩さん、一般戦の優勝は小田貞雄さんでした。

 

一般大会への小、中、高校生の参加が増えてきたのは非常に良いです。

(新春選抜戦:小学生2人、中学生2人、高校生3人、一般戦:小学生7人)

 

鈴木君は新春選抜戦で、斎藤君は一般戦でそれぞれ準優勝でしたが次の大会での優勝を期待しています。

第61回新春選抜戦01.pdf - Google ドライブ

第61回新春選抜戦02.pdf - Google ドライブ

第61回新春選抜戦03.pdf - Google ドライブ

第61回新春選抜戦04.pdf - Google ドライブ

第61回新春選抜戦05.pdf - Google ドライブ

将棋の上達方法4

1~3までで将棋の「ある程度まで」と「ある程度以上」の話をしました。ここからは「ある程度まで」の段階でお勧めする上達方法の話をします。

「ある程度まで」の特徴は以下のリンクに記載しました。この段階での技能の習得目標は以下の通りです。

将棋の上達方法2 - 福島県郡山市の将棋情報

  1. 将棋はこうやるものだ、を大まかに覚える。定跡と手筋の暗記。
  2. 短手数の詰む、詰まないの形を覚えて、瞬時に認識できるようにする
  3. 最低限の形勢判断の基準を覚える
  4. 頭の中で駒を動かせるようにする。この時点ではまだ数手レベルで良い

上記の内容は「ある程度以上」からするとかなり低レベルですが、これでもやばいレベルの情報量あります。要は「ある程度以上」というのはかなりの将棋中毒者です。先は長いので無理せず楽しくやるのが良いです。

なお、順番は1と2を並行して行い、3と4に進むという流れです。「ある程度まで」は1と2については量を重視の丸暗記で良いです。ぐだぐだ言っている理屈屋はそもそも考えられるだけの知識量を持っていないので伸びが遅いです。これが素直な人のほうが上達が速いと言われるゆえんです。この段階は受験勉強の手法と同じです。

2については短手数のハンドブックを使う人が多いと思いますが、単語帳と思ってもらえばよいです。1~5手レベルは最初から答えを見て丸暗記して下さい。我々はラーメンやカツ丼を見たら考えることなしに瞬時に認識できるはずです。短手数の詰みはそのレベルにする必要があります。なぜならそうなっていないと実戦で使い道がないからです。その理由は後述します。

長くなったので、詳細は次回以降で。

将棋の上達方法3

次回からの引き続きで「ある程度以上」の特徴についての話です。

「ある程度まで」の特徴は以下に書いていて、その特徴から上達方法が受験勉強に近いです。

将棋の上達方法 - 福島県郡山市の将棋情報

「ある程度以上」の特徴は対戦型ゲームの特徴に起因します。一部を以下に示します。

  • 自分のアクションにより相手のアクションを阻害できる
  • 将棋は完全情報ゲームであるが、自分が考えている内容は開示しなくてもよい
  • 将棋に関連する一切の能力についてルール上の制限が設けられていない
  • 目的は王様を先に詰ますことであり、指し手の評価値を競うゲームではない

これらは「ある程度まで」、即ち受験的な特徴とは違います。上記の特徴を理解したうえで、実戦でどうするか、普段どのように訓練するかが「ある程度以上」になります。その上で「ある程度まで」が十分できることが前提です。

将棋、という対戦型ゲームは

  1. ある局面で複数の手順を探索する。(これは作業であり、考えるではない)
  2. それぞれの手順について合否判定をする。(これは「高度な作業」)
  3. 候補手順の中から自分にとって最も良い、または相手が最も嫌がる手を選択する

であり、3が「考える」です。1や2を考えると勘違いしている人が多いですが、これらは作業なので訓練で短時間で済ませるようにします。3がとにかく難しいのです。

評価値全盛時代なので自分にとって最も良いが重視されていますが、相手が最も嫌がる手だって重要です。こういう手って評価値的には悪いんでしょうけど。

「ある程度以上」の特徴を詳しくやると超マニア向けになるので、次回以降はしばらく「ある程度まで」の段階でやっておくと良いことを紹介します。

 

 

将棋の上達方法2

前のコラムの続きで、「ある程度まで」と「ある程度以上」のお話です。

「ある程度まで」ですが、前回コラムのように受験勉強的な知識詰込と実戦の併用をひたすらやるだけで相当強くなります。レベルの低い県なら一般大会の県代表になることもあります。何事も量をこなせば結果はついてきます。大切なことは途中でやめないように楽しく続けることです。

その上でそのうち、努力している割に実力の伸びを感じられなくなるようになります。これは当たり前で既に相当な知識量を持っているので、少々インプットしたところで大きな成長は見込めないからです。この頭打ちを感じる頃が「ある程度まで」です。当然個人差があります。私は中学1年、全国中学生名人を取った頃でした。

「ある程度まで」の人の将棋の特徴はほとんど考えないことです。基本は知識をそのまま使う(覚えた定跡をそのまま使う、とか)で、ある局面において自分の保有知識を検索して正解に近そうなものを選択する、というやりかたです。受験の暗記科目、マークシート式のやり方に近いです。なお、その段階の人でも最終盤だけは局面の合否判定が容易なので(詰む/詰まない、だけで形勢判断が不要だから)比較的考えられます。

これも突き詰めれば、つまり検索能力を鍛え上げれば相当な強さになります。いわゆる早見え早指しタイプで、迷いがないので早指しでは無類の強さを発揮します。昔は町の道場にこのタイプ、1局500円くらいの真剣をしているおじさんがよくいました。これらの人はむしろ中途半端な「ある程度以上」の人よりも勝率は高いです。

「ある程度以上」というのは保有している大量の知識を自分なりにより有効活用する、という段階です。自分なりというのがポイントで、他の人のやり方が自分に合うとは限らないので基本的には試行錯誤です。この段階になると真面目に複数の変化を深く読むようになります。といっても読んだところで適切な合否判定ができないと効果は発揮されないのですが。(効果が発揮されない読みをやり続けて道場真剣おやじに刈られた人もいたことでしょう)

「ある程度以上」は茨の道であり、市販の書籍でもほぼ触れられていません。同じ知識量でも他人とどう差をつけるか、を述べている棋書を見ることってほぼないですよね。マニアすぎて買う人がほとんどいなさそうだからなのか・・・?

今の時代は合否判定基準としてAIの評価値がありますが、将棋はカンニング禁止の競技なので、自分なりの合否判定基準が確立されていないと実戦ではなかなか勝てません。AIの評価値を見るなとは言いませんが、自分なりの合否判定基準を形成する努力はしたほうがいいです。それがAIに比べて劣るものだとしても対人間の実戦では大変役に立つので。

次回は「ある程度以上」に関連する将棋の特徴について、です。(話の流れからするとこちらを先にするべきでしたか)