福島県郡山市の将棋情報

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将棋の上達方法2

前のコラムの続きで、「ある程度まで」と「ある程度以上」のお話です。

「ある程度まで」ですが、前回コラムのように受験勉強的な知識詰込と実戦の併用をひたすらやるだけで相当強くなります。レベルの低い県なら一般大会の県代表になることもあります。何事も量をこなせば結果はついてきます。大切なことは途中でやめないように楽しく続けることです。

その上でそのうち、努力している割に実力の伸びを感じられなくなるようになります。これは当たり前で既に相当な知識量を持っているので、少々インプットしたところで大きな成長は見込めないからです。この頭打ちを感じる頃が「ある程度まで」です。当然個人差があります。私は中学1年、全国中学生名人を取った頃でした。

「ある程度まで」の人の将棋の特徴はほとんど考えないことです。基本は知識をそのまま使う(覚えた定跡をそのまま使う、とか)で、ある局面において自分の保有知識を検索して正解に近そうなものを選択する、というやりかたです。受験の暗記科目、マークシート式のやり方に近いです。なお、その段階の人でも最終盤だけは局面の合否判定が容易なので(詰む/詰まない、だけで形勢判断が不要だから)比較的考えられます。

これも突き詰めれば、つまり検索能力を鍛え上げれば相当な強さになります。いわゆる早見え早指しタイプで、迷いがないので早指しでは無類の強さを発揮します。昔は町の道場にこのタイプ、1局500円くらいの真剣をしているおじさんがよくいました。これらの人はむしろ中途半端な「ある程度以上」の人よりも勝率は高いです。

「ある程度以上」というのは保有している大量の知識を自分なりにより有効活用する、という段階です。自分なりというのがポイントで、他の人のやり方が自分に合うとは限らないので基本的には試行錯誤です。この段階になると真面目に複数の変化を深く読むようになります。といっても読んだところで適切な合否判定ができないと効果は発揮されないのですが。(効果が発揮されない読みをやり続けて道場真剣おやじに刈られた人もいたことでしょう)

「ある程度以上」は茨の道であり、市販の書籍でもほぼ触れられていません。同じ知識量でも他人とどう差をつけるか、を述べている棋書を見ることってほぼないですよね。マニアすぎて買う人がほとんどいなさそうだからなのか・・・?

今の時代は合否判定基準としてAIの評価値がありますが、将棋はカンニング禁止の競技なので、自分なりの合否判定基準が確立されていないと実戦ではなかなか勝てません。AIの評価値を見るなとは言いませんが、自分なりの合否判定基準を形成する努力はしたほうがいいです。それがAIに比べて劣るものだとしても対人間の実戦では大変役に立つので。

次回は「ある程度以上」に関連する将棋の特徴について、です。(話の流れからするとこちらを先にするべきでしたか)