このコラムの内容は最近、県棋界の一部の人に話している「地方から実力不十分で奨励会6級を受けて、運良く受かったものの伸び悩んで退会」についての提言です。(地方からプロを目指す子供、親御さんに見て欲しい!)
大都市圏に住んでいると「奨励会6級に近い水準」までは強くなりやすいです。その場合はそのまま奨励会に入会するのが良いでしょう。
一方、地方に住んでいると奨励会6級に近い水準の実力があれば「一般の全国大会の代表になりやすい」というメリットがあります。一般の全国大会は元奨励会三段も珍しくなく、上位層のレベルは奨励会級位者よりも明らかに高いです。(下位層で奨励会6級くらいかも)
私の実体験や観察事例から思う、地方の子供が最速で強くなる、奨励会で戦えるルートは以下の通りです。
1.まず奨励会6級レベルを目指す。ぎりぎり6級では地方の普通の県トップの大人にはなかなか勝てないレベル。
2.奨励会に行かずに「プロではないのでアマチュアの大会に参加できる」の権利を使って県の大人を含めたトップを目指す。
3.レベルの低い県だと結構簡単に一般大会の代表になれるので、全国大会に出まくって強くなる。子供で出まくった人はそうはいないので威力はあまり知られていませんが、一度出るだけでもものすごく成長します!!(レベルが高い、持ち時間が長い、雰囲気、知り合いができる、アドバイスをもらえる、などなど)
4.地方でも強豪のいるレベルの高い県では簡単には代表にはなれませんが、全国大会は年間何度かあるので奨励会で戦える素養のある子供はそのうち代表になります。
なお、私は北海道の田舎(函館)に住んでいて高校1年から一般全国大会に出まくりました。威力は体験していますがマジですごいです。
5.地方なのにそれでも代表になれない県、というのは県内に超強豪が多数いる恵まれた環境です。この場合は周囲の大人と相談して奨励会入りかアマチュアで行くか相談すると良いでしょう。
6.一般の全国大会を利用してアマチュアの身分のうちに強化しまくって、実力で優位を取れる状態で入会する。過去、高校生で一般大会の全国上位や優勝は何回かあります。
7.高度に情報化された今、戦略的に地方から一般全国大会での強化を狙って年間全ての大会に出場したら中学生の一般全国タイトルホルダーは十分可能だと思います。(考えただけでも恐ろしい・・・)
私だったら徹底的に一般全国大会を活用して最大で奨励会三段(梅)クラスの実力を持って初段試験で入るを勧めますが、奨励会上級クラスの実力で早く6級入会するルートもありかもしれません。(この場合は1年で1級~初段にはなる)
初段試験という制度があるのに誰も使わないのはもったいないです。私の時代(30年前)にはなかったし、これまで使ったのは1人だけです・・・
私的には中3~高1で上記の実力で受験する、というのが理想です。これだと入会後ノンストップで三段リーグへ上がって大都市圏の奨励会エリートに追いつけます。(もっと早いに越したことはないですが、これでもかなりのものでしょう)
なお、私の話したルートは奨励会三段(梅)までが限界で、三段(竹)、三段(松)を経て三段リーグを抜けるのは奨励会に入ってからの鍛錬が必要です。この奨励会ショートカットでも三段リーグを抜けるのにどれだけかかるかわからない、が現状なので厳しい世界です。
その上で地方の実力不十分な子供に奨励会入りを勧める人達もいます。その後の子供達の行く末は容易に想像できるので不誠実でしょう。アマチュア資格を捨てた地方の子供は都会の子供と比較して不利しかありません。
6級入会でも良いから、せめて地元で無双してから行ってください。
健闘を祈ってます!!!